「営業って一度は経験しておいた方がいいって聞くけど、ぶっちゃけ営業をするメリットとデメリットって何なの?」
今回は、こんな疑問に答えていきます。
記事の信頼性
この記事を書いているボクは、営業経験20年。
今まで経験した業界では法人のお客さんのみですが、20年間も営業をしていると色んな人や場面と遭遇してきました。法人とはいえ、結局商売というものは人対人。どうすれば買ってもらえるか、契約につながるのかを考えなければいけない職種こそ、この「営業」です。
今回の記事は、ボクがこの営業を続けてこられたメリットと、これだけは伝えておきたいというデメリットをまとめたので、これから(個人・法人に関わらず)営業に挑戦してみようと思う方にとっては参考になる内容にしています。
大前提として、今回の記事は以下の人に向けて書いてます。
一つでも当てはまれば、読み進めてください。
- 将来的にキャリアアップ・独立を考えている
- 何のために営業をするべきかがわからない
- 今現在、自分のやりたいことを模索している
- 新しい自分発見に営業職について知りたい
- 誰かに依存せず自力で物事を進めていきたい
営業職を選択するメリット5つ
営業は仕事自体が楽しいという部分もありますが、今までの経験上、営業を続けられている人は自分自身の成長のためという人がほとんどです。
以下の5つは、そんな見方で選んだメリットになります。
- 折衝・交渉力が身につく
- 柔軟な考え方ができる
- 稼ぐ仕組みを把握できる
- 多方面への人脈を作れる
- 時間を自由自在に扱える
折衝・交渉力が身につく
ここは、営業職に就いた時点で必然的に習得できます。
営業をする以上、売上予算を持つことになるので、それをクリアするために試行錯誤や勉強をして、折衝・交渉しているうちに自分なりの正解が見えてくるから。
要するに、ロジカル(論理的)になるということですね。
ボクの場合は、営業を始めた頃は半ば強引に買ってもらったりしていましたが、続けているうちに相手の立場になって提案することや要望に応えるための回答を準備して商談に臨むようにしていたので、自然と折衝・交渉力が身についていきました。
※よくある質問:この折衝・交渉力が身につくことで、なぜ良いのか?
身近なところで言えば、プライベートでの買い物で役立ちます。特に大きい買い物。
この折衝・交渉力があると、値切ることが上手になるから。
例えば、家電や家具なんかを買う時って、少しでも安く買いたいとか大金を払うんだから得したい気持ちになると思います。
そんなときに、事前に相場を把握しておいて「ココまで下げたい」という風に設定して交渉すると意外にも想定以上に下げれたり、もしくはその手前まで下げることができるってことがあります。
これはビジネスに置き換えても同じことが言えるので、売上や利益を大きく獲得することも可能になるわけですね。
柔軟な考え方ができる
営業は、逆にこれができないと続けられないと言っても過言ではないです。
なぜなら、自己主張が強い人は実績を作ることが難しいから。
また、柔軟な考え方ができる=堅物ではないので、良好な人間関係を保てることも事実です。
ボクは社内でも社外であっても学ぶ姿勢を忘れないようにしているので、色々な意見やアドバイスを参考にするようにしています。それは後輩や部下にも関わらずです。
その方がこじれることも少なく、物事も早く進むんですよね。
ただ、節操がないという風に捉えられがちですが、それとは違います。それは自分の意見を持ちつつ耳を傾けているからです。
こういう姿勢でいれば、今まで経験のない未知の世界を知ることもできるので良いこと尽くしです。
稼ぐ仕組みを把握できる
営業は会社同士の取引をつなぐ橋渡し役なので、どうやって取引に至ったのか、どうすればもっと売上が上がるのか等を学べます。
ボクも営業を始めた頃は言われたことをやるだけ、もしくは決まった物だけをひたすら売るセールスマンでしかありませんでした。
でも、徐々に大きな取引を目指すようになって、実現もできるようにまでなっていきました。
そうなってくると、お金の流れも理解できて、自分の会社だけでなく取引先の収益源も把握できるようになります。
そして、「こんなビジネスモデルもあるのか」と気づくようになり、自分の範疇(はんちゅう)でも出来るのかどうかも考えるようになります。
結果的に、商売をする上で儲けの仕組みがわかるので、他の職種と比べて情報量も多くなり独立や起業へも動きやすくなります。
多方面への人脈を作れる
ここは、ボクが営業をして本当に良かったと思っているところです。
他の職種と比べても、圧倒的に色んな人と出会えるのが利点ですからね。
今まで本当に色んな人に出会ってきましたが、人脈と呼べるものは一握りだと思います。
人脈の作り方は人それぞれですが、ボクの場合は「信用できるかどうか」を軸にしているので、この人となら長い付き合いができると思えれば仲良くなっていきます。
それでも離れていく人は追いませんし、長く付き合えた人はそれだけ気が合っていたんだなと思っています。
よくある質問:合理的な考えで、人脈を作るのは間違い?
それも間違いとは思いません。ただ、長続きはしないと思います。要するに合理的な考えだけで、そういう人に近づくのは利用されて終了・・・というのがオチかなと。
「この人といれば儲かるから・・・」と思って近づく人は多いでしょうし、本人もそれを十分理解しているはずなので。
ボクもそんな経験はあるのでわかりますが、相手はそういう安易な考えで近づく人には一定のハードルを設けていたり、自分にとって有益なのかどうかを見定めています。
当然と言えば当然ですが、TAKEばかりする人よりもGIVEもしてくれる人でなければ、健全な人間関係は成立しません。
このGIVEをするというのは、人脈を作る上では必須の条件であることは理解しておいた方が良いです。
時間を自由自在に扱える
これは営業の醍醐味ですね。
簡単な話、営業は成績さえ良ければ昼寝していても許されるような職種なので。
ボクも営業を始めた頃は、「なんて素敵な職種なんだ」と感じたことが多かったことか。
でも、ボクがここで伝えたいのは、そんな安直な意味で取り上げた訳ではありません。
時間を自由に扱える=拘束時間が短い=能力を研磨することに投資できる、という意味を含めています。
要するに、次の売上を作るための種まきであったり、スキルアップのための資格勉強をしてみたり、独立に向けた準備をしてみたり・・・などなど。
ボクの場合は、まさに独立に向けた準備をしていました。
そんな感じで、自分のやりたいことのために時間を充てられるのも営業職の素晴らしいところです。
ちなみに、営業で独立を考えている方は、こちらの記事も参考になるはずです。
【経験談】営業代行でフリーランスになる方法と注意点5選【失敗談あり】
営業職を選択するデメリット5つ
ボクは営業を辞めたいと思ったことはありませんが、以下の5点は営業を続ける上で付き合っていかなければならないデメリットと言えます。
- 常に売上のことを考える
- 勤務&移動時間が長い
- 会話&文章力が問われる
- クレーム対応に追われる
- メンタル最重要課題の職種
常に売上のことを考える
営業は売上を作ってなんぼの職種なので、仕方ありませんね。
例えば、ボクの場合ですが、365日24時間考えているわけではありません。
特に考えているときは、移動中やトイレや入浴時などが多いです。その考える時間をどれだけ濃密にするかで、ダラダラ考える必要もなくなります。
例えば、以下のような感じです。
・今度訪問するお客さんは、今回の提案に対して○○のように返してくるだろうな
・新規開拓で行った○○さんへの2回目のアプローチとして、△△を案内しよう
・もうすぐ△△の在庫が無くなるだろうから、☐☐を代替案として考えておこう
こんな風に直接的に売上につながり、且つ次の行動に移せることを具体的に考えておくだけで、同じ考える時間でも濃厚なものになります。
勤務&移動時間が長い
営業がブラックと呼ばれるところですね。
勤務時間が長いのは、外回りによる移動時間が長いのも関わってくるからです。
ボクの場合はそういうものだと割り切っているのもありますが、売上を作るための必要な時間なので苦痛に感じたことはありません。
なので、ここがクリア・納得できない人は、営業職は向いていないと思います。
このデメリットに関しては厳しめに説明しますが、さらに営業は車での移動時間の上に会社に帰ればデスクワークも長いので、体力的な部分でも負担は大きいと言えます。肩こりや腰痛など。
要は、この体力的な負担(+下記のメンタル部分)と、自力で積み上げる売上に対する喜びとを天秤にかけて、どちらが勝るかが営業職を選択するかどうかの分岐点になります。
よくある質問:売上が伴わなかったらデメリットしかない・・・
確かに、そうですね。
ボクも良いときばかりを経験しているわけではないので、その気持ちもわかります。
そんなときは、思いっきりサボってOKです。ボクはそうしてました(今でもしてます)。
サボることで見えてくるのもあるので。
サボってしまえば心身ともにリフレッシュされるので、思考も(それまで売上に追い込まれて狭くなっていた視野も)健全になって、何をするべきかを真面目に考えられるようになります。
ボクの場合は、よく出張とかこつけて早く上がったり、遠方に午後から予定を入れて早めに直帰したり・・・などをしてました。
これも自己管理の部分なので、自分のパフォーマンスが最大限になることを考えて判断してください。
会話&文章力が問われる
営業ができる、できないはここで決まると言っても過言ではありません。
営業は何を考えるか、その考えたことを言葉や文字にして相手とやり取りをする職種なので。
実は、ボクは口ベタで文章を作るのも苦手な方です。
でも、営業を20年も続けていると、口ベタでも耳を傾けてくれるお客さんがいることを知って自信を持てるようになりました。また、数多くのお客さんとのメールのやり取りや、このブログで記事を書くようになって自分の想いや考えを文字にすることが苦痛では無くなってきました。
それに、ここはデメリットと思う人もいればメリットと捉える人もいると思います。
ボクのように苦手意識があっても、「自分を変えたい」と思っている人にとっては、願ってもない職種になるでしょうからね。
クレーム対応に追われる
会社の窓口をする以上、切っても切り離せないところです。
ボクの経験上でのクレームは、以下のような感じです。
- 製品不良
- 納期遅延
- 支払い面
- 連絡不足
- 契約内容
製品不良
一番多いクレームが、これです(サービスも同じ)。
取引の肝になっているところなので、当然ですね。
具体的には、交換依頼や再納品依頼を受けるわけですが、物やサービスで代替できれば解決するので比較的軽度なものになります。
ただ、代替できないものであったり再納品できない場合は、原因追究されることもあるので、エビデンス(証拠や根拠)を取っておく必要があります。
納期遅延
納期(納品期限)が遅れるのも、クレームの原因になります。
お客さんからすれば「約束していたのに来ない」となるので、信用問題になります。
例えば、見積書に記載している期間で製品が上がってこなかったら、案件が欲しいがために偽った情報と捉えられてしまうわけです。
ボクの場合、予防法の一つとして、お客さんからの注文が入った時点で納期指定があると思うので、それよりも日数がかかる場合は事前に連絡を入れています。
支払い面
これは仕入先に対してですが、入金がされていないときに発生します。
「営業がここまで対応しないといけないのか」と思う人もいるかもですが、営業の仕事は売上を上げれば終了ではありません。きちんと回収するまでが業務の範囲ということを忘れないでください。
中堅の営業マンでも意外とこの意識がない人が多いことも事実なので、自分なりに顧客の管理表などと作っておいて、お客さん(支払い時)や経理担当(回収時)に突っ込まれる前に対応しておくことをオススメします。
連絡不足
ここは、営業職の多忙ゆえにやってしまうところです。
営業職は多くの顧客を担当して、無数の案件を対応する職種なので。
代表的なところだと以下のような感じ。
- (上記の)納期遅延がわかっているのに、事前に連絡を入れていなかった
- アポイントを取っていた客先訪問で遅れるのに、連絡を入れていなかった
- 依頼のあった提出資料の期限が過ぎているのに、連絡を入れていなかった
この場合は忘れていることがほとんどなので、覚えているうちに備忘録にメモっておくか、後回しにせずに即連絡することでクレームは避けられます。
契約内容
取引する上で根幹になる部分なので、大事になりかねません。
契約内容に同意できるから、相手も取引してくれているので。
正直あまり起こるケースではありませんが、こちらが明らかに契約に則った内容から逸脱しているときなどに突っ込まれます。
こちらが気をつける点としては、数字が明記されているところは注意しておいた方がいいですね。支払いサイト(締めから支払いまでの日数)や色々な期間など。
逆に、契約内容に対して言いがかりのようなクレームがあったときは、契約書を再確認して毅然とした態度で対応することも時には必要になります。
メンタル最重要課題の職種
営業職は会社同士が取引する上での窓口なので、利害関係者が非常に多いです。
なので業務内容も多く、社内外関係なく様々なことを依頼されることやプレッシャーもハンパありません。
潜在的なところで言えば、ここもブラックと呼ばれる原因ではありますね。
営業職の特徴は、請け負う業務量が多いことや(会社の顔という)責任感だけでなく、周りとの調和という課題が多いところもあります。
営業を辞めていく人のほとんどは、上記のこと(業務量過多&関係性構築)をこなして当然という周りの目、対価は売上に対してのみということなど、これらの重圧に耐えきれずに断念していきます。
こんな状況で働いていると、正直感情もグチャグチャになるんですよね。このストレスは業務のせいなのか、はたまた人間関係が原因なのか、と。
ボクもこれまでの経験で、次から次へ飛び込んでくる業務をこなしたり、どれだけキツい言葉や罵声を浴びせられたかわかりません。
よくある質問:じゃあ、図太い人でないと続かないの?
上記の話ばかりをすると、一見、神経が図太くないと続けられないと思われがちですが、そんなことはありません。
逆に、神経が繊細な人の方が、取引先への気配りや対応に評価を得られやすいです。実際、ボクが繊細な性格なんですが、こんな20年も続けられています。
ボクが達した結論としては、「営業職」というものは、どれだけお客さんのことを考えられるかどうかの職種であるということ。業務をこなしているからいって疲弊して終わりでもなければ、個人の人間との関係がこじれたからといって、投げ出す対象にはならないということです。
なぜなら、お客さんのために動いていれば売上であったりお礼であったりと、あなた自身が評価されます。そして、お客さんを喜ばせた先に、新たな出会いや大きな案件など、また新しい世界も切り拓かれていくわけなんです。
なので、メンタル的なところは気にしなくていいということ。どうしても暇になると余計なことを考えるのが人間なので、多忙なところに身を置いて一日一日スキルアップしていき、将来的に自立できる営業能力を身につけることをオススメします。
要は、将来的なキャリアアップのために、これら(業務量や対人関係などの悩み)を問題視するレベルでなければ(慣れることができれば)、営業職は続けられます。
まとめ:最大のデメリットは動かないこと
営業職のメリットとデメリットについて解説してきましたが、ウダウダ考えるより、まずはやってみて良かったや合わなかったなど自分で判断するのが一番です。
どんな仕事でもメリットとデメリットは存在しますが、ボクは自分にとって継続したもの(結果的にメリット)になるか、(デメリットであれば)許容されるまたは吸収できるものになるかどうか、だと思います。
ボクは心の底から営業職を選んでよかったと思っています。その理由は、上記のことをクリアしているからです。
あなたにとっても営業職がマッチすれば、ボクは嬉しい限りです。
では、今回は以上になります。
こちらの記事も、営業職を考えている方にとって参考になると思います。
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